欧州企業でエグゼクティブとして活躍された今北純一さんと梅田望夫さんが、3年前の対談を振り返りながら、3年立って変わるもの、変わらないものを考察しています。欧州の「懐の深さ」を少し垣間見ることができます。
もう絶版になっているが、昭和58年(1983年)に今北さんが書いた「孤高の挑戦者たち」という処女作がある。彼がジュネーブのバッテル研究所で働いた経験をベースに、「真のプロフェッショナルとは何か」という問いを胸に、バッテル研究所のプロフェッショナル群像を描いた名著である。僕が20代後半で経営コンサルティング会社に就職したのは、この本を学生時代に読んだときの「ひりひりするような感動」を記憶していたからだった。今北さんはそれ以来20年以上にわたって、ヨーロッパから日本にメッセージを発信し続けていらっしゃる。著書も多数なので、ご存知の方も多いことと思う。最新刊は、将棋の羽生善治氏との対談「定跡からビジョンへ」と、「ミッション」である。
今北さんはパリ、梅田さんはシリコンバレー、という「欧」「米」でそれぞれ活躍された二人が興味深いことをおっしゃっています。
『日本では「欧米」という言葉を軽い気持ちで使う傾向にあるが、実際は違う。つまり「欧」と「米」だ。』
私は、お二人のように海外で活躍する経験など全くなく、この言葉を体感することはできません。しかし、経営、文化、宗教、哲学、人類学など様々なジャンルの書籍を通じて、「欧」と「米」の違いが、ここ最近少しずつ理解できてきました。
その理解の中だけですが、『今後、小売業やサービス業は、「欧米」ではなく、「欧」と「米」であると考えていく必要があるのではないか?』と勝手に推測しています。
その推測の理由は、これから日本人のライフスタイルを3つに分けてみているからです。
- 効率を追求した他者との比較において成功するライフスタイル(米)
- 個の自分を優先し、知的好奇心や精神的自由をもつライフスタイル(欧)
- 江戸時代のように循環型社会を重んじ、日本古来の美や趣を支柱としたライフスタイル(日)
かなり乱暴ですが、このような3つのコンセプトを中心としたライフスタイルになっていくのでないかと思います。
ライフスタイルにあわせた提案ができる事業や企業、個人事業主、副業が支持されるのではないか?
また市場に商品を投入するときも3つのどれを対象とするのかを考える必要があるのではないか?
と予測をしながらウォッチしていると勉強になります。