「コンサルタントなら必読」とどこかで読んだ(ブログを失念した)。ならば、コンサルタントではない愚生にはどう映るかと購入。なるほど、うなづける。これが商売かと舌なめずり。既読の人の方が多いか。手元にある版は第19刷。本には「原書」と呼ばれるものがあると常々思っている。ネタ本ともいう(*1)。その原書を探索するのが楽しい。本書は、ロジカルライティング&シンキングをテーマにしたなかでは、原書に近いのではないだろうか(と勝手に自己陶酔)。
当時レポートライティングに関する資料を探してわかったのですが、文章スタイルや文例構成に関する書物は山ほどあるのに、自分の考えそのものをどう構成すればよいかを書いた書物はまったくなかったのです。[…..]かろうじそうしたテーマに触れている書物が見つかっても、書いている中身は「論理的に書きなさい」とか「論理的なアウトラインを準備しなさい」というだけです。漠としたものから論理的なアウトラインを導き出すには、いったいどういう作業をするのでしょうか?
『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』 バーバラ ミント, グロービスマネジメントインスティテュート 序文
それが、「ピラミッド」である。ピラミッドとはアウトプットするためのメソッドをさす。ある事柄について、一つの頂点から下位にむかって要素を構造化していく。論理を構成するための思考の図形化である。
たとえば、
ぶどう, みかん, 牛乳, バター, じゃがいも, りんご, 卵, サワークリーム, にんじん
という買い物を頼まれたとしよう。ちなみに、「人間が一度に記憶できるのは7つまで」という理論がある(*2)。上記はそれを超えている。この場合、次のようにグループ化する。
- 乳製品—–牛乳, 卵, バター, サワークリーム
- 果物—–ぶどう, みかん, りんご
- 野菜—–じゃがいも, にんじん
そして、ビラミッドの頂点を「買い物リスト」としてもよい。つまり、三層のピラミッドが完成する。
- 頂点が「買い物リスト」
- 第2レベルが、「乳製品」「果物」「野菜」の3つ
- 第3レベルが、第2レベルにツリー化される9つ
これは記憶術の説明ではない。あくまで、物事のとらえ方をさす。まったく何もない白紙から問題発見に努めるのではなく、「ピラミッド」というフレームワークを設定し、要素を分類していき、ある事柄をロジカルに思考していく。
ピラミッド構造を構成するとき、以下の3大原則がある。
- どのレベルであれ、メッセージはその下位グループ群を要約するものであること
- 各グループ内のメッセージは、常に同じ種類のものであること
- 各グループ内のメッセージは、常に論理的に順序づけられていること
とくに、3の順序づけがおかしくなると、読み手にはわかりにくくなる。基本的には論理的な分類というのは、4つの方法しかない。
- 演繹の順序(大前提、小前提、結論)
- 時間の順序(1番目、2番目、3番目)
- 構造の順序(北から南、東から西、等)
- 比較の順序(1番重要なもの、2番目に重要なもの、等)
上記4つの順序は、ロジカルシンキングの原点であるため、第2部の「考える技術」のなかでくわしく解説されている。そのなかで、有名なMECEが登場する。
- 個々に見て「ダブリ」がなく(Mutually Exclusive)
- 全体的に見て「モレ」がない(Collectively Exhaustive)
この2つがキーワードだ。「ダブリ」なく「モレ」ないようにピラミッド化していく。この作業が、論理的にアウトプットする前に必要なのである。
本書は、
- 第1部 書く技術
- 第2部 考える技術
- 第3部 問題解決の技術
- 第4部 表現の技術
から構成されている。正直、「頭がかしこく見えるホニャララ」といったベタな薄い本をさっと読むよりも、本書を通読・精読し、辞書代わりに拾い読みしたほうが、期待しうる成果を生み出せると思う。
なぜそう思うのかは、次の3つ。
- フレームワークを定義している
- 論理の概要をおさえている
- コンサルタントに必要な能力が言外に含まれている
続きは次のエントリーで。
(*1)日本の場合、ハウツー系マーケティング本のなかには、洋書を「翻訳」して「(翻訳者の)原作」にいつのまにか変身して出版されるウハウハもある(らしい)。失礼。
(*2)マジック7

