Mっちゃんのドコが怪しいかったか

Mっちゃんの「1秒間に開いたり開いたり」を初見でなぜ怪しいと感じたか?そのプロセスを自己分析してみる。結論から述べると、Mっちゃんが「1秒間に開いたり開いたり」と言った瞬間だけ、「しゃべりが一段早く」て「トーンがひとつ上がっていた」のである。だから「1秒間に開いたり開いたり」自身が実は「答え」だったと後日わかったにもかかわらず、私はその場ですぐに「”1秒間に開いたり開いたり”やろ」と口にした。不思議なことに、「何が怪しいのか」をわからずに怪しいと思ったから、その単語がヒントになると感じた。答えがわかったのは前のエントリー「あっ!」で書いたように24時間後だ。電車に乗っていて、わかったので携帯電話から投稿した。

怪しいと感じた原因は、Mっちゃんの非言語化メッセージに伏流していたわけである。

Mっちゃんは語り手として「問題」を説明してくれた。それを私は聞いている。聞いている私は、語り手であるMっちゃん自身は「答え」を知っている、ということだけを知っている。私は「答え」を知らない。そんなときの私は相手をどう観察するか。まず、「言葉」に耳を傾けるのではなく、相手の身振り手振りや話の抑揚に注視するのである。聞くのではなく視る。すると、「答え」を知っている人間は、答えに関わるセンテンス(=ヒント)を口にするとき、身体が反応してしまうということに「気づく」。

今回の例でいえば、まず文字に変換してみると、「1秒間に開いたり開いたり(あいたりひらいたり)」となり、「閉まっていない」が一目瞭然だ。ところが、このセンテンスが「音」だけになって全体の話のほんの一部分として耳に入ってきたとき、どこがおかしのか「気づかない」。

今回の問題は、「どうして逃げられたのか?」である。小難しい訳知り顔して恐縮するが、あのときMっちゃんの問題を「構造化」しようと努めて聞いていた。まず、話自体がSFなのかトンチなのかノンフィクションか、そして解決策に道具を使うのか人物かなどいった具合である。乱暴な言い方で申し訳ないが、話の内容にあまり「深入り」しない。すると、答えは(話の中にある)”間違いさがし”にあるという構造が浮き彫りなってくる。さすれば、「Mっちゃんの非言語化メッセージ」にヒントがありそうだと、「言葉」に関心が向くよりも「言葉でない」部分を眺めていたわけである。

だから、もしMっちゃんが終始「まったく変化なく平静を装って」話をしていたなら、正直「気づかなかった」と思う。

構造化とか非言語化メッセージなんて、自分を誇張しようとして使っているだけのコトバなので、自分で自分を「バーカ」って一笑してしまう。「バーカ、ようは”経験”だけの話だろ」っていま書きながら突っこんでいる。

あのとき、あの場所で、あの話の流れでMっちゃんが始めた話というのは、話の前後の「雰囲気」からして、「ああ、マジカルパワー系だなぁ」というのを「経験」として身体がわかっていただけだ。そして、それさえピンとくれば、話の内容はどのようなものであれ、「間違いがある」と嗅ぎ取っているわけだから、Mっちゃんの話のなかで「歯切れが悪い」もしくは「歯切れが良すぎる」ところを探せばいいという寸法だ。

「経験」は大切であるが、経験したことをまず「気づく」ことが肝要であり、数ある経験の中からどの経験を引き出してきて目の前にある事象に当てはめて観察すればよいかという「過程」を訓練しているか———-それを認識させられた。

ものすごい「経験」と「気づき」を与えてくれたMっちゃんに深謝。


Comments

“Mっちゃんのドコが怪しいかったか” への2件のフィードバック

  1. Mっちゃんです。
    先日はご馳走様でした。シンクセルさんといろんなお話が出来て楽しかったです。
    「”1秒間に開いたり開いたり”やろ」とシンクセルさんがおっしゃった時に答えがすぐに分かったんだと思い込んでいました。
    私はここまで自己分析したことがないので、(出来ないんだと思うのですが…)院長の言う『帰納的』の意味が少し理解できたように感じました。
    また、シンクセルさんとお話がしたいです。

  2. Mっちゃん、コメントありがとう。

    こっちこそ遅くまでお付き合いいただき感謝です。自己分析なんて書くと大仰な感じがするけど、単に「あれ、なんでオレMっちゃんのあの一言がひっかかってんやろ〜」って思ったのでまとめてみただけですよ(笑)

    またYさんもいっしょにいろいろと話を聞かせてください。院長先生と四人でハジケるのもアリか?