[Review]: 日はまた昇る—日本のこれからの15年

日はまた昇る 日本のこれからの15年

『日はまた沈む―ジャパン・パワーの限界』で日本経済の後退を予言。のちに的中。衝撃から15年。今度は「日本経済復活」を宣言。激しいなぁ。著者の眼に今の日本がどう映るのか。「飛ぶ鳥を落とす勢い」みたいな持ち上げ方はしない。政治・経済・文化を俯瞰しつつ分析。動き出したかつての巨人はゆるやかに日を昇らせていくだろうと結論づける。正誤や当たり外れを取り上げてみても仕方がない。2020年を予想できる叡智は私に宿っていない。何より生きているかどうかわからないので一喜一憂したり、瑣末な文言に難癖つけるのも骨がおれる。興味があるのは、外国人識者の「評価」。内の評価と外の見解には差異がある。異論もある。差異を発見するための示唆を与える論考にふれたい、差異の根っこに興味をそそられる。財布から¥1,260を取り出した。

収益を大幅に改善する必要があるもう一つのサービス業は、旅行観光業界だ。これから増える年金生活者たちはもっと観光したがるだろうし、地方は観光業がもたらす雇用を必要としている。ところが日本の運輸業は最高水準だが価格は高く、ホテルは劣悪だ。さらに大きな問題は、公共工事を通じた雇用創出のために田舎が非常に醜くなり、観光業を通じた雇用創出を阻んでいることである。地方当局のあいだには「景観問題」に取り組んで、地方を美しくしようという動きが出てきた。だが観光業の発展、とくに外国からの観光客誘致のためには、まだまだなすべきことが山積している。

『日はまた昇る 日本のこれからの15年』 ビル・エモット  P.148

「造られたコンテンツ」が必要な場所と「創ってもらったコンテンツ」が求められる場所の仕分けが必要と愚考。旅行の先々で目にするのは「造られたコンテンツ」が多い(ように思う)。人の手でコントロールできる商品(景観も含む)。他方、加齢すればするほど心奪われるのは「創ってもらったコンテンツ」。主語は「人」ではない。人の手ではコントロールできない価値。

書いていて訳分からない。漠然と頭の中に浮かんだイメージをことばにするとこんな感じに。そのイメージを描く起点が冒頭の引用文。そんな文章が随所にある。ただそれだけの本。