わたしは君を見る

目をやるところ
どこにでも、わたしは君を見る。
冬から身を隠すために
氷を張る静かな池の中で、
君は深い恥じらいに満ちた水だ。
無数の卵と季節を宿す
ゆっくりと作られるスズメの巣の中で、
春を育む君は母神だ。
山頂から山裾に向けて
どっと咲き出る夏花の間で、
激しくもまた繊細に踊る君は踊り手だ。
落ち葉と揉み合っている秋風の中で、
君は来年の喜びを約束する。
目をやるところ
どこにでも、わたしは君を見る。
こうして君は、わたしの目が年とともに弱るにつれて
わたしの目になってくれたのだ。

『今日は死ぬのにもってこいの日』P.104-105