[Review]: 現代消費のニュートレンド―消費を活性化する18のキーワード

現代消費のニュートレンド―消費を活性化する18のキーワード

『現代消費のニュートレンド―消費を活性化する18のキーワード』 電通消費者研究センター

ユビキタス(ubiquitous=ラテン語)は、「いたるところに存在する(偏在)」という意味で、IT業界でよく使われている言葉です。ユビキタスはIT業界だけでなく、今後の消費に象徴される言葉になると電通消費者研究センターはユニークな提言をしています。

電通消費者研究センターは、最近の新しいチャネルでの消費を”ユビキタス消費”と名付けて、「あらゆる場所が消費の場(買い場)になるつつある現状を”消費のユビキタス化(ユビキタス消費)”」(同P153)と説明ししています。

ユビキタス消費が牽引する市場を5つあげています。

  1. 「ネットショッピング」
  2. 「モバイルショッピング」
  3. 「ネットオークション」
  4. 「通信販売」
  5. 「リサイクルショップ」

意識・無意識にかかわらずしているユーザーは、5つの市場を商品やサービスによって使い分けたり、ある市場だけでユビキタス消費しているわけです。そのユーザーも年代によって顕著な違いがあります。例えば10代は、モバイルショッピングをよく利用している傾向にあります。30代はネットショッピングやネットオークションを上手く使い分けています。

さらに”ユビキタス消費”を読み解くために5つのキーワードをあげています。

  1. 「消費の透明化」
  2. 「消費の合理化」
  3. 「ニッチの追求」
  4. 「楽しさの復活」
  5. 「潜在ニーズの受け皿」

個々の説明は割愛しますが、それぞれの単語からおおよその意味はくみとっていただけるのでないでしょうか?

一つ身近な例をあげるとすれば、私の知人が、日本ではなかなか販売されていない商品(ニッチ)をネットオークションで販売しています。ユーザーからは重宝されていて、話を聞くと、「なぜそんな高値でも売れるの?」と私は首をかしげてしまいます。

しかし、欲しい人は何が何でも欲しいから、当然高値でも売れるわけです。そろそろネット上で自分のサイトを開設しようかという相談をうけたりしています。

インターネットや携帯電話、フリーマーケット、リサイクルショップの出現が、「欲しいときに欲しいモノをいつでもどこでも買う」という消費欲求をかなえるようになりました。

ユビキタス消費は、将来大きな波となって消費シーンを変動させる可能性があるといわれています。既出の5つの市場は、マスメディア媒体で宣伝し、大量に流通させる従来型の手法が通用しなくなる市場でもあるからです。

新たな流通チャネルの登場は、大企業にとってどう対応すべきか苦慮するところかもしれません。しかし、中小零細企業にはチャンスといえます。何もすべての市場に対応する必要はありません。5つの市場のうちどこかの市場に自社商品を流通させる手段をもてばいいからです。しかも、5つのキーワードに合致するような商品であれば、市場への参入障壁はより低くなります。

企業は、『多様化する消費、ユビキタス消費』にどう対応するか?何も販売するだけではありません。他の方法もあるはずです。ご興味がある方は、冒頭の著書をぜひ一読されてください。何かのヒントが隠されているかもしれません。